頼れる男は今年も健在だった。エディン・ジェコ34歳。我らがASローマのカピターノである。
20-21シーズンセリエA第2節、オリンピコで行われたローマ対ユヴェントス。結果は2-2の引き分け。まあローマサイドからしたらホームで数的優位、完全な勝ち試合を引き分けにされたのだから言いたいことはそれぞれあるだろう。
ただ、フォンセカへの文句とか、ユヴェントスへの愚痴とかは一切排除して、これだけは言いたい。
残ってくれてありがとうジェコ。俺はもうダメだと思ってたよ。
数日前までてっきりユヴェントス行きは確定してるもんだと思ってたし、今回の試合で恩返し弾食らうイメージしか湧かなかったもの。
何度も言うけど、俺がロマニスタを名乗るきっかけを与えてくれたのは永遠のバンディエラ、フランチェスコ・トッティでも、ダニエレ・デ・ロッシでもなく、ボスニア・ヘルツェゴビナからやって来た傭兵風の顔立ちしたやたらとデカいこの男だった。
初めてDAZNでオリンピコの奇跡を観たときは感動で泣いてしまった。初めてローマの試合を観たにも関わらず、である。
もちろん、デ・ロッシのタクトは光ってたし、ナインゴランとシックのハイプレスも見事だったし、ゴール直後のマノラスは来るものがあったけど、それでもジェコがいたからこそ起きた奇跡だった。
そもそも1stレグでジェコが1点返していなければ最低4点必要だったはずで、奇跡は起きていなかったかもしれない。
もうあの試合のスタメンはほとんどいない。アリソンはリヴァプールの絶対的守護神となり、マノラスもナポリへ。ファシオとジェズスは構想外で放出濃厚だし、デ・ロッシは引退、ストロートマンはマルセイユ、ナインゴランとコラロフはインテルに行ってしまって、シックもレバークーゼンに完全移籍。フロレンツィもPSGへと旅立った。
途中出場のエルシャーラウィは中国、ウンデルはレスターへ。あの奇跡を起こした13人の内、ジェコ以外の12人が全員ローマを去ろうとしている。
そして、毎年のように去就が騒がれるジェコも、ついに個人合意、クラブ間合意も取れ、ミリクのローマ到着を待つのみの状況だった。
ただ、そうはならなかった。ナポリの策略を察知したユーヴェがモラタを獲得したことで残留が濃厚となり、ユヴェントス戦でジェコは90分間プレーした。
無かったことになったヴェローナ戦とは違った。収まりが違う。ムヒタリアンも頑張っていたけど、フォンセカもそれに合わせて戦術は練ってきてたけど、やはりジェコがいるといないとではゲームの練度が違う。
決定機2発はゴールに結びつかなかったけど、相変わらずのポストプレーと身長に見合わない足元の巧さは健在だった。
やっぱりローマにはこの男が必要なんだ。トッティもデ・ロッシもいない。フロレンツィやコラロフが去った今、ローマのバンディエラたる男はジェコしかありえない。
色々とややこしい問題が絶えないローマだけど、登録ミスで開幕戦が没収試合になっちゃうようなチームだけど、キャリアも最終盤となった中で残ってくれて本当に嬉しい。
ありがとうジェコ。今シーズンもよろしくジェコ。愛してるよジェコ。